動画の中のバーテンダーに衝撃 世界で活躍するバーテンダーを目指す 第1回[バーテンダー編]

BAR TIMES STOREアンバサダー 長尾和明さんインタビュー①

2023年4月から、BAR TIMES STORE アンバサダーとなった長尾和明さん(Bar LIBRE/池袋)に、就任記念インタビューを行いました。本企画では、アンバサダーとしてのお話だけではなく、バーテンダーという仕事を選んだきっかけ、その魅力など、バーテンダーとしてのストーリーもご紹介いたします。第1回は、長尾さんがいかにしてバーテンダーになったのか、どんな苦労があったのか、そして現在のBar LIBREのオーナーである清崎雄二郎氏との出会いなどを綴った「バーテンダー編」をお届けいたします。

2万円を握りしめ、銀座のバーを初体験。偶然の出会いから地元香川でバーテンダー人生がスタート

編集部 本日はよろしくお願いいたします。BAR TIMES STOREとして初めてのアンバサダー起用ということで、長尾さんと一緒に今後はどんな活動ができるか、とても楽しみにしています。

長尾 こちらこそ、よろしくお願いします。

編集部 まずは、長尾さん自身について知りたいのですが、何がきっかけでバーテンダーの道を志したのでしょう。

長尾 バーテンダーになる前は、居酒屋とカフェを掛け持ちしながら、何となく将来は自分のお店を持ちたいと夢を描いていました。居酒屋なのかカフェなのか…。そんな時、台湾のバーテンダー Angus Zou(アンガス・ゾウ)の動画を目にしたんです。あまりのカッコ良さにすごい衝撃を受けました。それをきっかけに、自分がやりたいのは居酒屋やカフェではなく、”海外で活躍するバーテンダーだ”という夢を持ち始めたんです。それが23歳の時でした。

編集部 バーテンダーという道があると知ったんですね。

長尾 知らなかったんですよね、それまでバーなんて行ったことないですから。で、バーテンダーという職業にすっかり惚れ込んでしまって、翌週にはもう地元香川から東京に向かい、銀座や赤坂へカクテルを飲みに行きました。2万円を握りしめて。

編集部 わざわざ銀座まで。

長尾 バーといえば銀座っていうイメージがあったんですよね。で、事前に調べて4軒まわりました。実際に見てもやっぱりバーテンダーはカッコいいって思ったんです。それで、香川に戻って居酒屋の店長に「僕、バーテンダーになります!東京に行きます!」って言いました(笑)。

編集部 東京のバーで働くつもりだったのですか。

長尾 はい。そうしたら、店長と仲の良いお客様が、香川でバーを開くからうちで働かないかって。話を聞くと、僕が行った赤坂のバーにいた方が香川出身で、その方が今度の新しい店のマネージャーになるって言うんです。すごく偶然で、これも運命と思ってお世話になることにしたんです。それが「Bar HEEL(バー ヒール)」という6席だけの会員制のバーでした。すごくカッコいい内装でね。今でもあるんですよ。そこから僕のバーテンダー人生がスタートしたんです。

編集部 「Bar HEEL」には何年くらいいたのですか。

長尾 約4年です。お店の1階に「Bar TIE(バー タイ)」という2号店があって、そこでもカウンターに立っていましたし、金曜日は別のバーで修業をして、日曜日は元々働いていたカフェで鍋を振っていました(笑)。なので、まったく休みがなかったんですよね。日々覚えることがたくさんあって、本当に勉強させてもらいました。

▲1本の動画によって想像もしなかったバーテンダーの道を歩むようになった長尾さん。

大会への挑戦で海外進出の夢も現実に。「Bar LIBRE」オーナー 清崎雄二郎氏との印象的な出会い

編集部 長尾さんはこれまでにも様々な大会に挑戦されていますよね。

長尾 「Bar HEEL」にいた時期は、協会団体やメーカーの大会など色々と挑戦してました。ちょうどその頃から海外で働くお話もちらほらあって。シンガポールとかハワイとか、上海とか。実際に現地を見に行ったりもしたんですよ。でも、なかなか踏ん切りがつかなくて。

編集部 すごいですね、そんなにオファーが。

長尾 ある時、いつも良くしてくださるバーテンダーの方から、後輩がベトナムでバーを開くので一度会ってみたらって声をかけてくれたんです。それで、詳しい話を聞きに東京へ行きました。これまでもそういった機会はありましたけど、お会いする方はだいたいオールバックに白ジャケットを着たいかにもバーテンダーらしい感じの人が多かったんですよね(笑)。で、当日、ホテルの喫茶店で待っていたら、遠くの方から茶髪で紺のストライプのスーツを着た人が、肩で風を切って歩いて来るのが見えて。あ、ヘンな人来たなって(笑)。それが今のオーナー、清崎でした。

編集部 個性が強めだったんですね(笑)。

長尾 この人と仕事したいって、瞬間的に思いました。でもベトナムですからね。今でこそ次々にバーが誕生してますけど、その当時、日本人バーテンダーが店を出すなんてないですから。シンガポールやハワイとかならまだ上手くいきそうな想像はできますけど、ベトナムってどうなんだろうって。しかも、リゾート地のダナンですからね。そうしたら清崎が「誰もやっていないところでやりたいんだよね」って言うんですよ。この人面白いなって(笑)。誰もやっていないところで挑戦できるなら、自分も楽しいだろうなって思えたんです。

編集部 それで「Bar LIBRE」に入られたんですね。

長尾 はい。入社して1ヶ月で「Bar LIBRE ダナン ルーフトップバー」の立ち上げでベトナムのダナンへ飛びました。僕の人生を大きく変えた本当に貴重な経験でした。

▲Bar LIBREオーナーの清崎さん(左から2番目)と長尾さん(右)。長尾さんは清崎さんのことを「キヨさん」と呼び、リスペクトと信頼の深さを感じる。

 

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 長尾和明さんプロフィール